まさか叔母さんの言う通り、浜田碧と東山裕には婚約があったのでしょうか。
でも浜田碧がいなくなって、彼女の代わりになれというの?
浜田統介は溜息をつきながら言った。「桜、余計なことを考えないで。あなたが彼と結婚できるのは、もちろんあなたが彼と結婚したいからよ。」
「でもあの時の東山裕は、私と結婚したくなかったはず!」
海野桜はバカじゃない。彼女はほとんど全てを理解していた。
「おじいちゃん、本当に叔母さんの言う通り、私は浜田碧の代わりなの?」
「馬鹿なことを言うな。あなたが代わりなんてあり得ない!」老人は不満そうに言った。「あなたが彼と結婚したいと言ったから、おじいちゃんも同意したんだよ。」
海野桜は淡く笑った。「おじいちゃん、実は全部分かったわ。東山裕が最初に私との結婚を承諾したのは、私と関係を持ってしまったからだけじゃなくて、両家の婚約があったからでしょう?だから不思議に思っていたの。なぜ彼があんなに簡単に私との結婚を承諾したのかって……」
浜田統介も隠す気はなく、溜息をつきながら言った。「彼が結婚を承諾したのは、確かにそういう意図もあった。でもあなたが彼のことを好きじゃなかったら、おじいちゃんは結婚を認めなかったはずだよ。」
「おじいちゃん、どんな婚約なの?東山裕が私と結婚せざるを得ないような。」海野桜は核心を突いた質問をした。
老人は一瞬固まり、黙り込んだ。
「おじいちゃん、話せないの?」海野桜はますます好奇心を抱いた。
浜田統介は彼女を見つめながら言った。「話せないわけじゃないんだが、どう説明したらいいか分からなくて。
簡単に説明すると、東山家は浜田家に大きな恩があってね。東山裕のおじいさんは恩返しのために、亡くなる前に遺言を残したんだ。東山裕は浜田家の娘を妻にしなければ、家督を相続できないという内容さ。
もちろん、私たちが望まなければ婚約は無効になる。あの時、あなたはまだ生まれていなかったから、みんな将来東山裕と結婚するのは浜田碧だと思っていたんだ。
でもあまり気にしないでほしい。おじいちゃんは東山家の何かを欲しがって、無理やりあなたを嫁がせたりはしないよ。」
海野桜は驚いた。こんな婚約が存在していたなんて思いもよらなかった。
「つまり、浜田家の娘が同意しない限り、東山裕は他の人と結婚できないってこと?」