第266章 お前を完全に俺のものにする

すべてを、彼女は断りたかった。欲張りすぎるのが怖かったから。

「東山裕……」海野桜は向かいの男性を見つめながら、小さな声で呼びかけた。

「なに?」東山裕は口角を上げ、彼女が感動的な言葉を言うと思っていた。

しかし、彼女が言ったのは……

「橋本友香の家賃は、私があなたに支払います……断らないでください!」

東山裕は愕然とし、怒りを覚えた。「海野桜、さっきの私の話を一言も聞いていなかったのか?!」

海野桜は笑って言った。「あなたの気持ちはわかります。でも、これは私の原則なんです。お支払いしないと、心が落ち着きません。」

「落ち着かない?」東山裕は眉をひそめた。

「はい、今のところ、わざとあなたの好意に甘えたくないんです。私の気持ちを理解してください。」

東山裕は無表情で言った。「そう言うなら、浜田碧のことはどうやって返してくれるんだ?」