第267章 彼女を甘やかしたい

すぐに彼女は分かった。東山裕は本当にそう考えていたのだと。

施設は現在建設中で、確かに彼女が最初に描いた華やかな設計図通りに建設されていた。

主任設計者の名前は彼女のもので、林馨はただの参加設計者の一人だった。

それだけでなく、彼は約束通り、毎週彼女の勉強を指導し、設計の仕方を教えていた。

彼が手取り足取り教えてくれたおかげで、海野桜の進歩は非常に早かった。

内部構造設計を含む、簡単な家の設計を一人でできるようになっていた。

そして東山裕と一緒に勉強するたびに、海野桜は時間が充実して楽しく過ぎていくのを感じた。

そう、彼女はとても幸せだった。

海野桜はこれまでの人生で恋愛を経験したことがなかった。

12歳の時に東山裕に恋をして以来、彼女の全ての注意は彼に向けられていた。