すぐに彼女は分かった。東山裕は本当にそう考えていたのだと。
施設は現在建設中で、確かに彼女が最初に描いた華やかな設計図通りに建設されていた。
主任設計者の名前は彼女のもので、林馨はただの参加設計者の一人だった。
それだけでなく、彼は約束通り、毎週彼女の勉強を指導し、設計の仕方を教えていた。
彼が手取り足取り教えてくれたおかげで、海野桜の進歩は非常に早かった。
内部構造設計を含む、簡単な家の設計を一人でできるようになっていた。
そして東山裕と一緒に勉強するたびに、海野桜は時間が充実して楽しく過ぎていくのを感じた。
そう、彼女はとても幸せだった。
海野桜はこれまでの人生で恋愛を経験したことがなかった。
12歳の時に東山裕に恋をして以来、彼女の全ての注意は彼に向けられていた。
二度の人生を経て、今になってようやく、彼女は本当の恋愛を始めたのだった。
東山裕は彼女に優しく、甘やかしすぎるほどの優しさだった。
海野桜は幼い頃から祖父に可愛がられていたが、東山裕からの愛情は全く異なる感覚だった。
彼の愛情は、彼女に常に甘い感覚を与え、呼吸する空気さえも甘く感じられた。
だから彼と一緒にいると、何をしていても楽しかった。
徐々に、前世で心に残った傷跡が、癒えていくようだった。
彼に対する防衛線は次第に少なくなっていった。
しかし二人はまだ最後の一線を越えていなかった。
東山裕は望んでいたのだが、しょっちゅう様々な方法で彼女をベッドに誘おうとしては失敗していた。
最初は海野桜がそこまで早く関係を進展させたくないと思っていた。結局のところ、彼女はまだ慎重に彼らの関係を探っている段階だった。
後になって海野桜は覚悟を決めようとしても、心の壁を越えられなかった。
毎回彼女はとても緊張し、無意識のうちに緊張してしまうのだった。
なぜそんなに緊張するのか自分でも分からなかったが、東山裕は彼女のそんな様子を見て、どんなに欲望があっても無理強いする気にはなれなかった。
そのため毎回我慢していた。とても辛い我慢だった。
海野桜は彼がそれほど自分のことを考えてくれているのを見て、さらに感動した。
彼女は心の中で決意した。早く前世の全てを忘れ、早く心も体も彼を受け入れ、早く新しい生活を始めようと。