それ以来、柴田治人は完全に変わってしまい、橋本友香を見る目に感情が一切なくなった。
実際、橋本友香が彼を計算に入れていなくても、彼女に対する感情は二度と芽生えることはなかっただろう。
高橋実紀のやったことがあまりにもひどすぎて、その憎しみは橋本友香にまで及ばずにはいられなかった。
彼女を好きでいることもできず、彼の愛はすでに完全に消え去っていた。
そして、これらの年月、柴田治人は彼女たちの存在を我慢し続けてきた。だから彼が橋本友香たちに良い顔をするなど、絶対にありえないことだった!
もちろん、橋本友香も黙々と耐え続けていた。
どんな説明も無駄だった。なぜなら、彼女の母親が柴田治人に与えた傷を、彼女は永遠に償うことができないからだ。
これが、長い年月が経っても、橋本友香が彼のことを好きでいる理由だった。彼がどんな態度を取ろうとも、彼女は未だに諦めることができなかった。
彼の苦しみも、憎しみも、彼女にはすべて理解できたから。
でも、彼女の苦しみや憎しみを、誰が理解してくれるのだろう?
……
帰り道で、海野桜は橋本友香の過去に衝撃を受け続けていた。
彼女は、橋本友香と柴田治人にそんな過去があったとは思いもよらなかった。
彼らは二人とも高橋実紀に計算されていた。
しかし最も傷ついたのは橋本友香だった。実の母親にまで計算されていたのだから。
この数年間、橋本友香がどれほどの痛みを抱えていたのか、想像もできなかった。
そして今、また母親に計算されている。
だから橋本友香はもう耐えきれずに、自殺を選んだのだろう……
「病院に戻りましょう!」海野桜は即座に東山裕に言った。「橋本友香が可哀想です。一人で病院に置いておくと、また何か馬鹿なことをしでかすかもしれません。」
東山裕は彼女を慰めた。「彼女の世話をする人を手配してある。ちゃんと見守ってくれるし、それに彼女ももう吹っ切れたみたいだから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。」
「でも……」
「安心して、本当に大丈夫だから。」
彼がそれほど確信を持って言うのを聞いて、海野桜は少し安心した。
しかし、まだ悲しい気持ちが残り、心の中は何となく重く沈んでいた。
「橋本友香が今後すべてを手放して、新しい人生を始められたらいいのに。」