夜は更けていた。
海野桜は退院せず、引き続き病院に入院していた。
彼女はベッドで眠っていたが、少し落ち着かない様子だった。
朦朧とした意識の中で、東山裕がベッドの傍らで彼女を見つめ、撫でているような気がした……
海野桜は手を伸ばして彼をつかもうとしたが、空を掴んでしまい、目が覚めた!
周りの暗闇を見て、また夢を見ていたことに気づいた。
東山裕のことを思い出し、眠れなくなった海野桜は、彼に会いに行くことにした。
集中治療室に近づく前に、突然警報音が鳴り響いた。
医師と看護師の一団が素早く彼女の横を走り過ぎた!
海野桜は一瞬固まり、彼らの走る方向を見て顔が真っ青になり、不吉な予感が走った。
駆けつけた時、ガラス窓越しに、数人の医師が病室で東山裕の救命処置をしているのを目の当たりにした!
海野桜は看護師の一人を捕まえ、切迫した様子で尋ねた。「東山裕はどうしたんですか?何があったんですか?!」
「患者さんが突然容態が悪化して、今救命処置中です!」
「どうして急に容態が悪化したんですか?」
「まだ分かりません……」看護師は適当に答えると、また忙しく立ち去った。
海野桜は再び病室の中を見た。
医師たちは緊張した面持ちで東山裕の救命処置を続けており、心電図モニターの波形は徐々に緩やかになっていった……
海野桜は信じられない様子で目を見開いた。どうしてこんなことに?
東山裕は大丈夫だったはずなのに、どうして急にこんなことに……
海野桜は胸を押さえ、息ができないような感覚に襲われ、頭の中も真っ白になった。
すぐに東山裕の両親も連絡を受けて駆けつけた。
東山裕はすでに救急室に運ばれて救命処置が行われていた……
東山裕の両親は医師と多くの話をしたが、海野桜には何も耳に入らなかった。
彼女はずっと緊張した面持ちで救急室の入り口に立ち続け、まるで世界から取り残されたかのようだった。
どれくらい時間が経ったのか、夜が明けたようだった。
海野桜の体が突然鴻野美鈴に引き寄せられた。
「桜さん、裕の容態は一時的に安定しましたが、医師によるとまだ危険な状態だそうです。海外の専門医に連絡を取り、今すぐ向こうへ搬送することになりました。」
海野桜は一瞬呆然とし、やっと彼女の言葉の意味を理解した。