海野桜は首を振って、「大丈夫です」と言った。
「早く車に乗りなさい。お爺様も車の中にいらっしゃいますよ」
海野桜は少し驚き、遠くの車を見ると、確かにお爺様が座っていた。
彼女は急いで車に乗り込んだ。
優しそうなお爺様を見た途端、海野桜は思わず目に涙を浮かべた。「お爺様...」
浜田統介は彼女の頭を撫でながら、ため息をついて言った。「もう大丈夫だよ。お爺様は全部知っているから。安心しなさい。お爺様がいる限り、何も心配することはないよ」
海野桜は首を振った。「私のことは心配していません...」
老人はすぐに悟り、笑みを浮かべた。「この子ったら、裕のことを心配しているのかい?」
海野桜は頷き、悲しそうに言った。「今、彼がどうしているのか分からなくて...」
「彼は大丈夫だよ。そんなに心配することはないよ」
「でも、彼が去る時の様子が良くなくて...」
「裕は運のある男だ。そう簡単には何も起こらないよ。むしろ自分のことを心配しなさい。はぁ...」
海野桜は急いで慰めた。「お爺様、私は大丈夫です。そんなに心配しないでください」
浜田統介は深刻な表情で言った。「桜や、なぜか私の心がずっと落ち着かないんだ。この数ヶ月、お前は次々と事件に巻き込まれて、お爺様は本当にお前に何かあるんじゃないかと心配なんだ」
「お爺様、確かにいつもトラブルに巻き込まれますけど、毎回なんとか切り抜けられていますよ!」海野桜は比較的楽観的に言った。「心配しないでください。きっと大丈夫です!」
彼女の確信に満ちた言葉を聞いて、浜田統介は微笑んだ。「そうだね、私たちの桜は絶対に大丈夫だ!お爺様が何かあらせはしない」
海野桜は心が温かくなり、慰めた。「だからお爺様、私のことを心配せずに、ご自分の健康に気をつけてください。お爺様が健康でいてくださってこそ、私は一生守ってもらえるんですから」
「はっはっはっは、その通りだ!」浜田統介は大笑いした。「お前のために、お爺様はあと何十年も生きなければならないな」
「絶対です!」海野桜は強調した。
浜田統介はまた思わず大笑いした。
祖父と孫が笑い合った後、二人とも気分が随分良くなった。海野桜も表面上は悲観的な感情を見せないようにしたが、内心では依然として東山裕のことを心配していた。
...