第273章 ここはあなたを歓迎しない

彼はその時とても驚いた!

すぐに飛び込んで、彼女を助け上げた。しかし、彼は自分が助けたことを彼女に知られたくなかった。なぜなら、彼女を助けたことに特別な意味はなく、ただ単に人命救助をしただけだったからだ。

そのため、彼女を病院に送った後、海野桜の電話番号を残して立ち去った。

ただ、その後、橋本友香が柴田家を去るとは思いもよらなかった。

後になって、彼は断片的に当時の橋本友香が自殺を図った理由を知ることになった……

彼女の母親が彼女を蘇我直哉に差し出そうとしていたのだ!

その日具体的に何が起きたのかは分からないが、おおよその想像はついた。

柴田治人は常々、橋本友香は偽善的な女の子だと思っていた。いつも弱々しい演技をしているが、実際は計算高い。

しかも目的のためなら手段を選ばない女だと。

当時、彼女が利益のために自分を利用したのだから、今、利益のために蘇我直哉と一緒にいても何の不思議もない。

しかし、彼が疑問に思うのは、なぜ彼女は自殺を図ったのか……

もしかして、彼が思っていたような人間ではなかったのだろうか?

しかし、たとえそうでなくても、彼の彼女に対する態度は変わらないだろう。

なぜなら、高橋実紀は恩を仇で返し、彼の母親を裏切り、父親を誘惑し、彼を陥れて柴田家に入り込んだのだから。

さらにここ数年、柴田家全体を支配しようと画策し続けている。

母親のこれらの行為だけでも、彼と橋本友香は他人の道を歩むしかない。

だから彼女がどんな女の子であろうと、彼には関係ない……

彼の世界に彼女は必要ないのだ!

……

柴田治人が去って間もなく、橋本友香も去った。

彼らが去った後、林馨がやって来た!

彼女を見て、海野桜は眉をひそめた。「何しに来たの?」

林馨は冷ややかに言った。「東山裕が事故に遭ったと聞いて、様子を見に来たの。」

「来る必要なんてないわ!」海野桜は冷たく言い放った。「お帰りなさい。」

林馨は思わず軽く笑った。「海野桜、私は彼に東山家から追い出されたのに、まだそんなに警戒するの?」

海野桜は冷淡な表情で言った。「警戒?自意識過剰ね。単純に嫌いなだけよ!」

「ようやく私のことを嫌いで、ずっと私を狙っていたって認めたわね?」林馨は詰問した。