他の家は倒壊を免れたのに、東山裕の家だけが崩れ落ちた。
彼は瓦礫の下に埋もれ、見つからず、声も聞こえない……
「東山裕……」海野桜は石を掻き分けながら、涙を流して探し回った。
救助隊も到着し、緊急捜索を行っていた!
海野桜は制止を振り切り、必死に彼を探し続けた。豪雨は止まず、彼女の全身は濡れ透き、両手は血を流すほど擦り剥けていた……
でも彼女は寒さも、痛みも感じなかった。
ただひたすら両手で掘り続け、一秒でも遅れれば東山裕を救えなくなるのではと恐れていた。
しかし、長時間探しても見つからなかった!
「東山裕ー!」海野桜は苦しそうに叫び、地面に膝をつき、声を上げて泣き崩れた。
胸の中は耐え難いほど苦しく、刃物で刺されているかのようだった!
もし東山裕が死んでしまったら、どうすればいいのか分からなかった。