浜田統介は誰からの電話なのかを察していた。
彼は頷いた。「行きなさい。おじいさんのことは誰かが面倒を見てくれるから、心配しなくていいよ」
「おじいさん、どうかお体を大切にしてください。私は先に失礼します」海野桜は言い終わると、名残惜しそうに立ち去った。
東山裕からの電話はまだ鳴り続けていた。
海野桜は廊下で電話に出た。「今出ました。すぐに下に行きます」
エレベーターで下に降り、病院を出ると、彼女は一目で東山裕の車を見つけた。
背の高い男性が車のドアに寄りかかり、目を細めて空を見上げていた。横顔の輪郭は深みがあった。
特に彼の鼻は、高くて完璧で、まるでアジア人の血統とは思えないほどだった。
彼を見て、海野桜は思わず足を止めた。
東山裕はすぐに彼女に気付き、深い眼差しで微笑んだ。「こっちにおいで。乗りなさい」