どうやって逃げられる?
彼は完全に彼女の急所を掴んでいた!
海野桜は冷笑した。「だから、火事場泥棒をしているの?」
東山裕は邪悪な笑みを浮かべた。「そうだ!で、君の選択は?」
海野桜は答えず、彼の手を振り払い、何も言わずに引き返した!
東山裕は目を光らせ、彼女を追及せずに、救急室の外まで彼女について行った。
浜田英司と張本花江は突然海野桜が戻ってきたのを見て、思わず腹を立てた。
しかし、彼女の後ろについてきた東山裕を見て、彼らは呆然とした。
二人は目を合わせ、お互いの意図を理解した。
どうやら老人を救える望みが出てきたようだ……
海野桜は手術室の外に立ち、中を一瞬も目を離さず、不安そうに待っていた。
誰も彼女を邪魔せず、全員が静かに手術の結果を待っていた。
時間が一分一秒と過ぎていき、海野桜にとって一分一分が拷問のようだった……
東山裕にとっても、それは拷問だった。
彼は分かっていた。もし浜田統介が危機を乗り越えられなければ、彼と海野桜には永遠にチャンスがないということを。
だから彼は無事であってほしかった。
同様に、浜田英司と張本花江も待ちくたびれていた。もし老人が亡くなれば、浜田家も終わりだ……
皆が無事を願う中。
丸3時間の手術が、ついに終わった!
手術室のドアが開いた瞬間、全員の心が高鳴った!
一人の医師が先に出てきて、続いて数人の医療スタッフが浜田統介を運び出してきた。
「おじいちゃん——」海野桜は一目散に駆け寄った!
浜田統介は意識不明で、状態が分からなかった。海野桜は震える声で医師に尋ねた。「先生、おじいちゃんはどうですか?」
医師はマスクを外し、笑顔で答えた。「ご安心ください。患者さんは一命を取り留めました。心臓病もそれほど深刻ではありませんでした。今後は治療と休養に気をつければ、大きな問題はないでしょう。」
海野桜は突然笑顔を見せ、感動の涙とともにこの数日間で初めての笑顔を浮かべた!
東山裕は彼女の笑顔を見て、深い眼差しが一瞬惑わされた。
……
浜田統介は病室に運ばれた。
部屋の外には、まだ二人の警官が見張っていた。
そう、彼は今でも容疑者で、病気になっても、依然として……
彼の体調が良くなれば、裁判は続き、罪は続く。