第322章 彼は本当に手放すべきだ

東山裕は歯を食いしばって言った。「それが私を疑う理由なのか?私がお前にそんなことをするとでも思っているのか?!」

「今までにそんなことしなかったとでも?!」

東山裕は一瞬固まった。「……」

海野桜は自分がなぜこんなに怒っているのかわからなかった。ただ感情を抑えることができなかった。

「東山裕、私だってあなたを疑いたくないわ。でも、自分自身にまで手を下せる人なら、私にだってできるはず!いいえ、あなたは既に私に手を下したことがあるじゃない……東山裕、あなた本当に怖い人!」

東山裕の瞳孔が縮んだ!

あの時の海野桜への仕打ちは、彼の人生で消せない汚点となってしまったようだ。

彼女を計算に入れ、騙し、傷つけたからこそ、彼女は彼を疑わずにはいられないのだ。

そして彼女の分析は間違っていない。彼が最も疑わしい容疑者なのだ。