第322章 彼は本当に手放すべきだ

東山裕は歯を食いしばって言った。「それが私を疑う理由なのか?私がお前にそんなことをするとでも思っているのか?!」

「今までにそんなことしなかったとでも?!」

東山裕は一瞬固まった。「……」

海野桜は自分がなぜこんなに怒っているのかわからなかった。ただ感情を抑えることができなかった。

「東山裕、私だってあなたを疑いたくないわ。でも、自分自身にまで手を下せる人なら、私にだってできるはず!いいえ、あなたは既に私に手を下したことがあるじゃない……東山裕、あなた本当に怖い人!」

東山裕の瞳孔が縮んだ!

あの時の海野桜への仕打ちは、彼の人生で消せない汚点となってしまったようだ。

彼女を計算に入れ、騙し、傷つけたからこそ、彼女は彼を疑わずにはいられないのだ。

そして彼女の分析は間違っていない。彼が最も疑わしい容疑者なのだ。

東山裕は重々しい眼差しで言った。「海野桜、私にはただ、私ではないとしか言えない!私がそんなにもお前を傷つけるはずがない……」

「はっ——」海野桜は突然皮肉な笑いを浮かべ、目には憎しみが満ちていた。「そうね、あなたがそんなに私を傷つけるはずないわ。せいぜい私を法廷に送り、刑務所に入れただけよ!東山裕、あなたが私に与えた傷がどれほど深いか、あなたには全くわかっていない!」

「なのに私はバカみたいにあなたを信じて!あなたを心配して、悲しんで、本当に死ぬと思って!結局全部あなたの策略で、その時私のことをバカだと思っていたんでしょう?!」

東山裕は愕然とした——

海野桜は涙をこらえ、自嘲的に笑った。「こんなことを話すなんて私も馬鹿ね。あなたが私にどうしようと、実はどうでもいいの。もう私を愛させようと必死になる必要もないわ。だって、何をしたって、私は絶対にあなたを愛することはないから!」

東山裕は目を見開き、顔色も幾分蒼ざめた。

海野桜はもう無駄話をする気はなく、身を翻して立ち去ろうとした。

「海野桜!」東山裕が突然叫び声を上げ、海野桜の足は思わず止まった。

東山裕は彼女の背中を見つめながら、痛みを込めて口を開いた。「すまない、私が間違っていた!」

海野桜の目が思わずゆらいだ。