第311章 とても普通な身体反応

彼女の考えを見抜いたかのように、東山裕は突然罰として彼女の唇に強くキスをした!

海野桜は思わず怒りを感じたが、それを抑えた。

怒りたくても怒れない彼女の様子を見て、東山裕は何故か面白く感じると同時に、切なさも感じた。

彼は彼女に言いたかった、自分を拒絶しないでほしいと。

これからは、もう二度と彼女を傷つけないと……

でもそれらの言葉は口に出せず、ただもう一度キスに変わった。

優しく深いキスに……

東山裕が去った後、海野桜は再び勉強を始めた。

彼女はすぐに雑念を振り払い、ただ本に集中した。

海野桜は今日中に、遅れている授業の内容を全て復習しようと決めた。そうすれば明日の授業についていけるだろうと。

彼女が真剣に勉強している間、東山裕は書斎で鴻野美鈴からの電話を受けていた。

「母さん、僕は自分が何をしているか分かっています。はっきりと分かっています」東山裕は低い声で言った。「海野桜のことを、本当に諦められないんです!」

そう言うと、母の考えも聞かずに電話を切った。

なぜなら、多くの人のことまで考える余裕はなく、今は海野桜と一緒にいることが、彼の最も望むことだったから。

東山裕はドアの外を見つめ、その視線は扉を透かして、もう一つの書斎にいる海野桜を見ているかのようだった。

そして彼の口元に、思わず浅い笑みが浮かんだ。

その後の時間、海野桜と東山裕は家で過ごした。

夕食の時間になると、東山裕は直接海野桜を呼びに行った。食事の間、東山裕は気軽に話題を探して彼女と会話を交わし、海野桜は簡単に答えるだけだった。

東山裕も気にしなかった。どうせ彼女は自分の側にいるのだから、焦る必要はない、全てゆっくりでいい。

この夜も、彼は彼女に触れることなく、ただ抱きしめたまま一晩を過ごした。

このことに海野桜は少し意外を感じた。

でも彼が触れてこないことで、確かに彼女の心は少し安堵した……

向き合いたくないことに、早めに向き合わなくて済むのも、良いことだった。

……

また一夜が過ぎた。

翌日早朝、二人とも早く起き、朝食の時に東山裕は彼女を学校まで送ると言った。

海野桜は断った。「送ってもらう必要はありません。自分で車を運転して行けます」

「道順は同じだよ」東山裕は断られる余地なく言った。

海野桜:「……」