二人は考え事をしながら、車はすぐに家に着いた。
しかし、東山裕が別荘で待っているとは思わなかった。
彼らが帰ってくるのを見て、山田大川は丁寧に挨拶をした。「社長、奥様、お帰りなさい。」
そして、東山裕に向かって言った。「社長、パーティーまであと30分ですが、今から出発しましょうか?」
海野桜は少し困惑した。どんなパーティー?
しかし、彼女は単に興味を持っただけで、詮索する気はなかった。
東山裕は淡々と言った。「急ぐ必要はない。少し遅れても構わない。」
そして彼は海野桜の手を引いて食堂へ向かった。「さあ、先に夕食を食べよう。」
海野桜は思わず口にした。「パーティーがあるんじゃないの?」
東山裕は笑って言った。「大したパーティーじゃない。君と一緒に夕食を食べる方が大切だ。」
海野桜:「……」
つまり、彼は特別に彼女を迎えに来て、ただ彼女と夕食を共にするためだけに?
しかも、病院で長い時間を無駄にさせられて……
海野桜は東山裕に促されて椅子に座り、使用人たちはすぐに料理をテーブルに運んできた。
東山裕が本当に彼女と夕食を共にするつもりなのを見て、彼女は言った。「あなたは用事を済ませてきて。私一人で食べられるから。」
東山裕は箸を取って彼女におかずを取り分けながら、低く心地よい声で言った。「言っただろう、大したパーティーじゃないって。」
彼は彼女をじっと見つめ、微笑んで言った。「これからは、できるだけ時間を作って君と一緒に食事をする。これは私の必修科目だ。」
「……」海野桜は冷静な目で見つめ返した。「でも、そんな必要はないと思うわ。」
「私にとっては、とても必要なんだ!」東山裕は更におかずを取り分けながら言った。「毎日少なくとも一食を君と共にできれば、一ヶ月で30回、一年で365回になる。回数は少なく見えるかもしれないが、私は君と最も多く食事を共にする人間になれる。」
海野桜は彼の食事理論に少し驚いて固まった……
東山裕は笑って言った。「夫婦は一緒に食事をすることで、感情がより深まっていくんだ。君の私への感情が変わるかどうかはわからないが、少なくとも、私は君と最も多く食事を共にする人間でなければならない!」
人は毎日食事をする、食事をしない人はいない。
食事は人にとってとても重要で、だから食卓は感情を育むのに最適な場所なのだ。