なぜ今になって彼女のことをこんなに気にかけているのだろう?
でも海野桜はそれ以上深く考えたくなかった。
東山裕が食べないなら、自分で食べることにした。
海野桜はそれほど多くは食べず、少し食べ物を口にして水を飲むと、眠くなってきた。
椅子の背もたれに寄りかかり、海野桜はうとうとと眠りに落ちた。どれくらい眠っていたのかわからないが、車が止まっているような気がした。
ぼんやりと目を開けると、海野桜は横を向いて、驚いたことに東山裕がハンドルに伏せっているのを見た。
彼の顔は見えず、眠っているのか、それとも何かあったのか分からなかった……
「東山裕?」海野桜は呼びかけてみたが、まったく反応がなかった。
海野桜は不安になり、手を伸ばして彼を押した。「東山裕、どうしたの?」
ようやく、伏せていた男が少し動いた。顔を上げると、海野桜は一目で彼の青白い顔色に気付いた。