第354章 彼女は人を殺したくなった!

海野桜は分かっていた。彼の生死に関わるべきではないと。

彼らの間にも余計な接触があってはいけない。それが誰にとってもいいことだった。

でも、彼のこの状態を見て、放っておくことはできなかった。

海野桜は淡々と答えた。「上まで送るわ。途中で死なれたら困るでしょう?」

東山裕は思わず冷笑した。「海野桜、これは何のつもり?俺を心配してるのか?」

「……」

東山裕は手を引き、力なく言った。「残念だが必要ない!もう一度言うが、俺のことに首を突っ込むな!」

海野桜は眉をひそめ、むっとして問い詰めた。「東山裕、私とあなたは敵同士?そこまでする必要あるの?!私はあなたに悪いことなんて何もしてないわ!そうよ、あなたの言う通り、私はあなたのことに関わるべきじゃない。でも見て見ぬふりはできないでしょう。知らない人のふりもできない。それに、私があなたを助けるのは、心配してるからじゃなくて、良心が許さないからよ!今日はあなたじゃなくても、誰だって助けるわ!だから私の行動を誤解しないで。あなたはそれほど賢いんだから、私の助けが何も意味しないってことくらい分かるでしょう!」