第356章 恐ろしい光景

海野桜の眼差しも複雑だった。

彼女はこのような光景を目にするとは思わなかった。

広い寝室には家具が少なく、ほとんどクローゼットと大きなベッドしかなかった。

東山裕は大きなベッドの上で丸くなっていた。

しかし……

周りの壁には、ある女性の肖像画がびっしりと貼られていた。床にも散らばっていた。

部屋全体が女性の肖像画で埋め尽くされていた!

一枚一枚の肖像画に描かれた女性の表情は、それぞれ異なっていた。

怒っている顔、嬉しそうな顔、眠っている姿、食事をしている姿……

無数の肖像画に描かれているのは一人だけ、それは海野桜だった!

海野桜は衝撃を受けた。こんな光景を目にするとは思ってもみなかった。まるで恐ろしい光景だった……

そう、恐ろしく、心が重くなるような光景だった。

医者は東山裕に注射を打ち、点滴を付けて帰っていった。