第370章 無限の深情……

「若奥様、おはようございます」使用人は彼女を見て、恭しく挨拶した。

「……おはようございます」海野桜は少し考えてから、現在の自分の立場を受け入れた。

彼女は東山裕の向かいに座り、尋ねた。「おじいさまは今大丈夫だと言ったけど、本当?」

東山裕はゆっくりと目を上げ、彼女の不安と確信のなさを見抜いたようだったが、すぐには答えなかった。

代わりに使用人に手を振って下がるよう指示した。

食堂に誰もいなくなってから、彼は頷いた。「ああ、安全だ」

肯定的な答えを得て、海野桜の心は随分と落ち着いた。

「昨夜考えていたんだけど、まだ分からないことがあるの。おじいさまはなぜ書斎に変な写真を置いて行ったの?」

東山裕は最後のベーコンを口に入れながら言った。「あれは単に彼らの注意を逸らすためだ」