しかし、裏で糸を引いている大物は一体誰なのか……
誰なのかはわからないが、海野桜は、その人物がただ者ではないことを知っていた。
少なくとも、彼女の祖父の官位よりも上だった。そうでなければ、鈴木健雄は福岡市を去ることを余儀なくされなかっただろう。
しかし、鈴木健雄は当時、福岡市では最高位にいたはずだ。
誰が彼より上にいたというのか?
海野桜はいろいろと推測してみたが、手がかりは何もなかった。
相良剛に聞いても、何も分からないだろう。相手が自ら命令を下すほど愚かではなく、間に必ず多くの手下がいるはずだ。
そして、その人物は深く隠れていた。そうでなければ、彼女を捕まえるために、完璧な計画を立てる必要はなかったはずだ。
しかし海野桜は、彼らがその人物に対抗する方法を見つけられると信じていた。
海野桜は朝食を取りながら、全員に無事を知らせるメッセージを返信した。
そして鈴木信子から電話がかかってきた。
「桜ちゃん、大丈夫だった?」鈴木信子は心配そうに尋ねた。
海野桜は頷いた。「うん、大丈夫よ。」
鈴木信子は笑って言った。「大丈夫でよかった。まさかこんなことが起こるなんて思わなかったわ。もし何かあったら、私、一生後悔していたと思う。」
海野桜は彼女を慰めた。「お姉さん、心配しないで。今は大丈夫だから。」
「大丈夫なら良かった。休んだら、ご飯でも食べに行きましょう。」
「うん。」
「じゃあ、ゆっくり休んでね。何かあったら電話してね。」
「うん。」海野桜はそれ以上何も言わなかった。
鈴木信子との通話が終わるや否や、今度は浜田碧から電話がかかってきた。浜田碧は簡単に二、三言話しただけですぐに切った。
彼女はいつもそんな性格で、多くのことに関心を示さなかった。
そもそも彼女と海野桜の仲はそれほど深くなかった……
最後に海野桜に電話をかけてきたのは橋本友香で、彼女は海野桜の安否を非常に心配し、会いに来たいとも言った。
海野桜も久しく彼女に会っていなかったので、二人はあるレストランで会うことにした。
半年前に海野桜が去って以来、彼女たちは一度も会っていなかった。
久しぶりの再会で、海野桜と橋本友香はお互いを懐かしく思っていた。
しかも、二人の間には少しの隔たりもなく、以前と同じように親密な関係を保っていた。