しかし、裏で糸を引いている大物は一体誰なのか……
誰なのかはわからないが、海野桜は、その人物がただ者ではないことを知っていた。
少なくとも、彼女の祖父の官位よりも上だった。そうでなければ、鈴木健雄は福岡市を去ることを余儀なくされなかっただろう。
しかし、鈴木健雄は当時、福岡市では最高位にいたはずだ。
誰が彼より上にいたというのか?
海野桜はいろいろと推測してみたが、手がかりは何もなかった。
相良剛に聞いても、何も分からないだろう。相手が自ら命令を下すほど愚かではなく、間に必ず多くの手下がいるはずだ。
そして、その人物は深く隠れていた。そうでなければ、彼女を捕まえるために、完璧な計画を立てる必要はなかったはずだ。
しかし海野桜は、彼らがその人物に対抗する方法を見つけられると信じていた。