第372章 なぜ彼女が好きなのか

「海野桜に危害を加えるなら、我が東山一族の敵となる……」

「私の妻に何かあれば、この東山裕が全力を尽くして報復する!」

東山裕が発した力強い誓いの言葉を見て、海野桜の心は少し震えた!

彼女は、彼が自分のためにこのような宣言をするとは思ってもみなかった……

……

簡単に食事を済ませた海野桜は、橋本友香と別れた。

外であまり長居をすると何か問題が起きて、東山裕に迷惑をかけるかもしれないと心配だった。

家に帰っても、海野桜はまだぼんやりしていた。

東山裕が発した誓いの言葉が、彼女の心を落ち着かなくさせていた。

海野桜が自分の気持ちを整理できないでいる時、使用人が突然知らせに来た。「若奥様、奥様がいらっしゃいました!」

海野桜は急に顔を上げた。「誰?」

そして彼女は入ってきたばかりの鴻野美鈴を見た。

彼女を見た途端、海野桜は思わず立ち上がり、少し緊張した様子で「奥様……」

鴻野美鈴は穏やかに微笑んだ。「桜さん、久しぶりね。」

「奥様、お久しぶりです!」海野桜は慌てて挨拶を返した。

鴻野美鈴は彼女の緊張を察して、笑いながら言った。「緊張しないで。ただ少しお話がしたくて来たの。庭園に行きましょうか?外の天気もいいわ。」

「はい!」海野桜は素直に頷いた。

そして二人は裏庭の東屋へと向かった。

海野桜は自ら茶を用意して持っていき、その後で彼女の向かいに緊張した様子で座った。

なぜか今、東山裕の母親を見ると、つい緊張してしまうのだ。

鴻野美鈴はお茶を一口飲んで、突然申し訳なさそうに言った。「桜さん、正直に言うと、私たちはあなたのお祖父様に申し訳ないことをしたわ。あの時、もう少し信頼していれば、お祖父様を傷つけることも、あなたを傷つけることもなかったかもしれない。」

海野桜はこの話題が出るとは思っていなかった。少し戸惑いながら、静かに言った。「実は全て皆様のせいではありません。祖父が全てを背負う選択をしたのですから……」

「でも、どう考えても私たちにも非があるわ。だから今回は、全力でお祖父様のお力になりたいと思っています。」

海野桜は急に感動して、「ありがとうございます、奥様!」