海野桜は同意して頷いた。「そうよ、まさにそれ!暗すぎるわ。自分が不幸だからって、みんなを不幸にしたがるなんて!本当に恨みがあるなら、本当の敵に復讐すればいいのに!それに、あの時は明らかに彼ら自身が悪いことをしたのに……」
ここまで話して、海野桜はまた疑問に思った。
「そのチップって一体どれほど重要なの?佐藤勇が盗むなんて、命を落とすことになるかもしれないのに」
東山裕は料理を一口食べながら言った。「もちろん金になるからさ。それも相当な利益がある」
「お金?他国に売るの?」海野桜はそうに違いないと思った。そうでなければ、当時国家反逆罪にはならなかったはずだ。
東山裕の瞳が微かに動き、深い眼差しで海野桜を見つめた。
海野桜は彼の視線に少し落ち着かなくなり、「何を見てるの?」
東山裕は笑いながら、「君がこんなに賢いなんて考えていたところさ」
海野桜は驚いた。「私が賢い?」
どこが賢いというの?
「ああ。君は多くのことを気付かせてくれた。君の言う通りだ。彼らは他国に売ったんだ。他国が買おうとするのは、それだけの価値があるからさ。国と国の間に永遠の平和はない。みんな資源を奪い合っている。だからチップの中身が漏れれば、必ず他国が利益を得ることになる!」
そうでなければ、チップに価値はないし、佐藤勇が命懸けで売国奴になる理由もない。
これを考えると、東山裕は目を細めた。
おそらく、チップの中身が何なのか、大まかには推測できる……ただし具体的には分からない。
中身は、きっと人目に触れてはいけないもので、一旦公開されたり他国に知られたりすれば、自国に大きな損失をもたらす秘密に違いない。
一体誰が、このような公開できない大事を引き起こす能力があるのだろう?
誰にそんな力があるのか?
恐らく一人では成し得ないことだろう……
東山裕は考えれば考えるほど背筋が寒くなった。
しかし彼は平然とした態度を保ち、何も悟られないようにした。
海野桜も推測していた。「中身は一体どんな秘密なの?」
「それは考えないほうがいい。知ったところで私たちのためにはならない」東山裕は彼女の思考を遮り、話題を変えた。「家のことは、私が何とかする方法を考える。ただし、少し時間がかかる」
海野桜は彼と一緒にこれほど多くの内幕を分析し、事の重大さも理解していた。