第385章 私を心配してくれているの?

そう言うと、東山裕はポケットから金色の懐中時計を取り出した。

時計を開くと、中には時計ではなく、精密な盗聴妨害装置が入っていた!

まさか、こんなにも周到に準備していたとは!

海野桜は少し驚きながらも、思わず笑みがこぼれた。

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夕食を済ませ、二人は一緒に帰った。

帰るなり、海野桜は待ちきれずに東山裕に、彼の方法について尋ねた。

東山裕は低い声で言った。「もうすぐ全国経済サミットが開催される。これは非常に重要な会議だ。各地域から一人の企業家が代表として選ばれる。間違いなく、私が選ばれるだろう。その時、会議に参加して、この件を直接上に伝える機会がある。」

海野桜は即座に彼の意図を理解した。「国家の最高指導者たちに会いに行くということ?」

東山裕は頷いた。「ああ。今はこうするしかない。この問題を解決するには!他の誰に頼んでも、予期せぬことが起こる可能性がある。」

相手も追い詰められれば、何をするか分からないからだ。

だから彼らは慎重に行動しなければならなかった。

海野桜は急に緊張し始めた。「うまくいくかしら?」

東山裕は笑って言った。「私が代表に選ばれさえすれば、成功の可能性は高い。だから、これは全て、すぐに終わるはずだ。」

海野桜の心に突然、希望が芽生えた。

彼女も、全てがすぐに終わると感じていた。

そして、東山裕がそれを実現できると信じていた……

突然、海野桜は以前ほど心配や恐れを感じなくなり、未来に少し希望が見えるようになった。

ただ、まだ悩みがあった。それは家をどうやって取り戻せるかということだった。

東山裕は、その一帯の開発権を買い取る予定だと言った。そうすれば家を守ることができる。

しかし翌日、彼が庄野グループの社長である庄野進一を訪ねてこの件を相談したところ、断られてしまった。

庄野進一は開発権を東山裕に売ることを頑なに拒否した。

もっともだ。彼らは競争相手なのだから、こんな良い機会を東山裕に譲るはずがない。

それに、売るとしても非常に高額な価格をつけるだろう。東山裕も馬鹿高い金額を払うつもりはないはずだ。

そのため、家を取り戻す件は、ますます難しくなっていった……

海野桜が諦めるように勧めても、東山裕は、自分の辞書には諦めるという言葉はないと言った!