第386章 また彼を好きになってしまった

海野桜が彼が何かするだろうと思った時、突然彼の質問が聞こえた。

「あの時、僕に会いに来ようと思ったことはあるのか?」

「え?」海野桜は一瞬固まり、やっと彼の言葉の意味を理解した。

彼がなぜまたこの話を持ち出したのか、彼女には分からなかった。

東山裕も自分がなぜ尋ねたのか分からなかったが、ずっとその答えを知りたかった。

「あったのか?!」彼は目を黒く光らせながら追及した。まるで目的を達成するまで諦めないかのように。

「……」海野桜の目が揺れた。

彼女は突然どう答えればいいのか分からなくなった。

どう言えばいいのだろう?実は会いに行きたかったけど、おじいちゃんに薬を飲まされて連れて行かれたと告げるべきか?

いや、最初は行きたいと思っていたけど、福岡市を離れた後、その考えは完全に消えていた。