……
ザーザー……
窓の外では、いつの間にか大雨が降り始めていた。
東山裕が去ってから、海野桜は一人でリビングに長い間座り込んでいた。
いろいろなことを考えていたが、何も考えていないようでもあった。
とにかく、心ここにあらずの状態だった……
考えているうちに、昔の自分のことを思い出し、今の東山裕は当時の自分そのものだと感じた。
たくさんの感情を注ぎ込んで、ただ応えを待っている。
応えが得られないと、怨みや苦しみを抑えきれなくなる……
感情の世界はなぜこんなに複雑なのか、なぜ愛には必ず憎しみが伴うのか。
だから人は、愛と憎しみは表裏一体だというのだろう。
愛がなければ、憎しみも生まれない。
愛が深ければ深いほど、憎むときもそれだけ深くなる。だから東山裕、あなたは今、私をどれほど憎んでいるの?
海野桜が物思いに耽っていると、突然リビングのドアが開かれた——
「バン!」
突然の音に、海野桜は驚いて振り向いた。
土砂降りの雨を背景に、東山裕が全身びしょ濡れで玄関に立っていた。彼の体は大きく、黒い瞳で彼女を見つめており、まるで地獄から来た悪魔のようだった。
海野桜はゆっくりと立ち上がり、不安そうに彼を見つめた。
大柄な男が、突然彼女に近づいてきた。
一歩、二歩……
ポタポタ、ポタポタ……彼の体から、光る床に雨水が絶え間なく落ちていく。海野桜は何故か更に緊張し、彼を見つめながら、どうしたのかと尋ねたかった。
しかし、声が出なかった。喉が何かに詰まったかのように。
しかし東山裕の足取りは止まることなく、悪魔が近づくような歩みだった。
二人の距離が縮まっていく中、海野桜は突然彼の目の中に恐ろしい冷たさを見た。
なぜか、次の瞬間、彼女は逃げ出そうとした——
服が、突然掴まれた!
「きゃあ!」海野桜は驚いて叫んだが、すぐに体が持ち上げられた。
東山裕は彼女の小さな体を軽々と担ぎ上げ、大股で階段を上がっていった。
海野桜は必死にもがき、彼の体を叩き続けた。「東山裕、何するの?降ろして、降ろして!」
しかし、どんなに抵抗しても、酒臭い体で理性を失った男は手を緩めなかった。
寝室のドアが蹴り開けられ、海野桜の体はすぐに柔らかいベッドに投げ出された。
彼女が逃げ出そうと体を翻す間もなく、東山裕の大きな体が覆いかぶさってきた。