彼は東山裕、欲しいものは何でも手に入る。たかが一人の女に過ぎない。
彼が望むなら、なぜいけないのか?
もう自分を抑えたくない。欲しいなら、手に入れる!
彼女の気持ちなど、どうでもいい……
もはや理性を失った東山裕は手を緩めるどころか、さらに激しく。
彼は海野桜の服を引き裂き、ズボンを脱がせ、容赦なく彼女の体を蹂躙しようとした。
そうすることでしか、彼の苦しく虚ろな心を癒せない。
でも、なぜだろう。激しくキスをし、激しく愛撫し、激しく抱きしめているのに、心は依然として虚しいままなのか?
そうだ、まだ彼女を完全に手に入れていない!
東山裕は海野桜の片足を持ち上げ、彼女を完全に我が物にしようとした。
「パン!」突然、海野桜は彼の頬を平手打ちした。
東山裕は一瞬呆然とし、体が硬直した!
海野桜は全力で叫んだ。「東山裕、この最低!」
東山裕の瞳が揺れ、海野桜の目に宿る憎しみ、涙に濡れた顔、首と胸に残る恐ろしい噛み跡を目にした……
それを見て、東山裕は自分が何をしたのか理解した!
彼は……彼女にこんなことを!
海野桜も、彼がこんなことをするとは思わなかった。涙が止まらない。「警告するわ。これ以上続けたら、死んでやるから!」
東山裕は針で刺されたかのように、彼女を突き放した!
彼は荒い息を吐きながら、まだ信じられない様子で、自分が彼女にこんなことをしたなんて。
海野桜は素早く布団を引き寄せ、体を包んだ。
東山裕は何か説明しようとしたが、彼女の怒りに満ちた目を見て、胸が痛んだ!
してしまったことに、何の言い訳ができる!
そして、もう彼女が彼を受け入れることはない。今は彼のことを心底憎んでいるだろう!
そう考えると、東山裕はもうそこに留まる勇気がなかった。また制御を失って、取り返しのつかないことをしてしまうかもしれない。
そうだ、海野桜が自分を愛してくれないと思うだけで、絶望的に彼女を壊したくなる。
またあの感覚が戻ってきた……
東山裕は拳を強く握り締め、ベッドを激しく殴りつけると、暗い雰囲気を纏ったまま部屋を出て行った。
海野桜は布団の中で、長い間泣き続けた。
なぜこんなに辛いのか分からない。ただ胸が痛くて、悔しくて……そして東山裕が大嫌い!
そう、彼が大嫌い!