第408章 彼女を表に出したくない

飛行機が離陸する前に、海野桜はニュースを見ていた。

現在、東山の状況はとても良くなく、メディアは東山裕の投獄について大々的に報道していた。

東山の名誉と信用は、すでに深刻な影響を受けていた。

おそらくさらに悪化するだろう……

しかし東山裕はまだ気にしていないような様子だった。

海野桜は彼のこの態度を見て、少し歯がゆく思い、「心配じゃないの?」と尋ねた。

東山裕は彼女の体を抱き寄せ、目を閉じたまま「何を心配する必要がある?心配することなんて何もない」と言った。

「でも今の状況はとても深刻よ……」

「空が落ちてくるわけじゃない」

海野桜は本当に言葉を失った。これはまさに、神様は焦らないのに側近が焦るという状況だ。

彼の胸に寄りかかりながら、彼女はまだ心配していた。「あなたはここまで苦労してきたのに、もし全てが水の泡になったら、とても悲しいわ」

東山裕は彼女の体をしっかりと抱きしめ、しかし満足そうだった。

「でも僕は海野桜を手に入れた。海野桜がいれば、東山を失ったとしても何だというんだ!」

どうせ、彼はすでに最も欲しかったものを手に入れた、それで十分だった。

海野桜はその言葉を聞いて心が動かされたが、少し悲しくもあった。

彼女は彼が東山を失うことを望んでいなかった。なぜならそれは彼の心血であり、彼の帝国でもあったからだ。

しかし彼女は信じていた、彼はきっとこの難局を乗り越える方法を持っているはずだと。

海野桜は東山裕がこれほど楽観的だったからこそ、自分も楽観的になれたのだ。

しかし福岡市に着いてから、彼女は事態の深刻さを知ることになった!

飛行機を降りるとすぐに、東山裕は人を手配して彼女を別の通路から送り出し、彼自身はメディアに一人で対応しに行った!

海野桜は本来、彼と一緒に対応したかったが、彼に拒否された。

彼は彼女を表に出したくなかった、彼女に彼と一緒にこれらの負担を背負わせたくなかったのだ。

海野桜は別荘に送られ、そして気づいた、別荘の周りは警戒で埋め尽くされており、メディアは全く入ってこれないようになっていた。

とにかく今の情勢は、人々に緊張感を与え、嵐の前の静けさのような感じがした。

橋本友香さえも我慢できずに電話をかけてきた。

「桜ちゃん、この二日間どこに行ってたの?電話も繋がらなかったけど、大丈夫?」