第407章 俺がお前を養うしかない

前々日の夜、彼と海野桜が一緒にいる姿を見るまで、彼が全ての人に冷たいわけではないことを彼女は知らなかった。

彼にも他人に対して熱情的に接する時があるのだ。

ただ残念なことに、その相手は他の女性だった……

来栖雅は彼らの車が遠ざかる姿を見つめながら、心が抑えきれないほど暗くなっていくのを感じた。

車の中で、海野桜は不思議そうに東山裕に尋ねた。「あの人は誰?あなたの友達?」

「ああ、横浜市の友人だよ」東山裕はうなずき、それから別の話題に移った。「今回は選挙に勝てなかったから、友人に助けを求めるつもりだ」

来栖雅は、彼が助けを求めるために呼んだ人物だった。

海野桜はずっと彼が選ばれたかどうか聞く勇気がなかった。一つには彼の面子を潰したくなかったから、もう一つは失望するのが怖かったからだ。