しかし女性は生まれつき疑い深く、敏感なものだ。
彼女は本当に自分の妄想を抑えることができなかった。
それでも、海野桜はやはり東山裕を信じることを選ぶだろう。結局のところ、彼女を裏切るようなことをする必要はないのだから、そうでしょう?
海野桜は洗面所にかなり長い間いてから出てきた。
そして彼女は、浜田碧も来ていることに気づいた。
浜田英司と張本花江だけが来ていなかった。
浜田碧は恥ずかしそうに説明した。「おじいちゃん、彼らは遠出していて、今帰ってくる途中なんです。」
浜田統介はすでに過去に起きたすべてを知っていた。
彼は冷たい声で言った。「私に会う勇気がないんだろう!」
浜田碧はすぐに黙り込んだ。彼女は海野桜を見て、笑いながら言った。「キッチンで手伝いましょうか。」
海野桜はこの時、東山裕と向き合いたくなかったので、うなずいて同意した。
そして二人はキッチンへ行き、東山裕はリビングでおじいさんと話をしていた。
キッチンには今、料理をしている使用人が一人だけいた。
海野桜と浜田碧は彼女の野菜を洗ったり、切ったりするのを手伝った。
ただ二人とも、少し上の空だった。
突然、浜田碧は横を向いて何気なく海野桜に尋ねた。「さっき私が来たとき、誰かが家から出て行くのを見たんだけど、あの人は誰?」
海野桜はしばらく考えてから答えた。「来栖研吾という人よ。この数ヶ月、東山裕が彼におじいちゃんの世話をさせていたの。」
浜田碧の目が一瞬光った。「彼はすごい人なの?どこの人?」
「たぶん横浜市の来栖家の人じゃないかな。でも私もよく知らないわ。」海野桜は適当に答え、また考えが遠くへ飛んでいった。
来栖研吾のことを考えると、彼女は来栖雅のことを思い出した。
来栖雅は、彼女が横浜市で会ったあの女性なのだろうか……
浜田碧も思考が彷徨っているようだったが、彼女の様子がおかしいことに気づく人はいなかった。
すぐに、海野桜たちは豪華な食事を用意し、家族全員で賑やかに食事をした。
海野桜もすでに気持ちを切り替え、あれこれとごちゃごちゃしたことは考えないようにしていた。
最近は嬉しいことが続いている。東山裕が戻ってきたし、おじいちゃんも戻ってきた。彼女は喜ぶべきだ。
だから、どんな悩みも考えないで、ただ幸せであればいい!