言い終わると、彼女は電話を切った。
東山裕は淡々と尋ねた。「どうしたの?」
「橋本友香が警察署にいるって言ってたわ。声の調子がとても悪くて、何が起きたのか分からない。急いで見に行きましょう」
東山裕は頷き、何も聞かずに直接車を運転して警察署へ向かった。
海野桜は、橋本友香が何か困ったことに遭遇したのだろうと思っていた。
しかし彼女は本当に、こんなに大きな事件が起きるとは思ってもみなかった……
彼らが警察署に着いたとき、海野桜は橋本友香が全身震えていて、顔色が青白いのを見た。
海野桜を見るなり、橋本友香は思わず目を赤くした。
海野桜は緊張して、心配そうに尋ねた。「友香、どうしたの?何があったの?」
「桜、どうしよう、私どうすればいいの?」橋本友香はすぐに怖くて泣き出した。
海野桜は完全に緊張した。「友香、一体何があったの?!泣かないで、ゆっくり話して」
「彼女は殺人容疑で捕まっているんだ」と一人の警察官が言った。
「何ですって?!」海野桜はぱっと顔を上げ、完全に呆然としていた。
東山裕も意外そうな表情を見せた。
「私じゃない、私は人を殺してない!」橋本友香はすぐに興奮して反論したが、警察官たちは彼女を信じようとしなかった。
「友香、これは一体どういうことなの?」海野桜も顔色を悪くして尋ねた。
そして橋本友香は震えながら事の経緯を話した。
実はこれまでずっと、蘇我直哉という男が橋本友香につきまとっていたのだ。橋本友香は彼のことが大嫌いで、いつも拒絶していたが、彼女が拒絶すればするほど、蘇我直哉は彼女に興味を持つようになった。
蘇我直哉には庄野沙耶という婚約者がいて、海野桜も会ったことがあるが、とても横柄で傲慢な女の子だった。
庄野沙耶は蘇我直哉のことが大好きだったが、蘇我直哉は橋本友香のことが忘れられなかった。
彼女はとても腹を立て、何度も橋本友香に嫌がらせをしたが、橋本友香はそれを我慢し、できるだけ二人を避けるようにしていた。
しかし今回、庄野沙耶は完全に怒り狂った。
なぜなら蘇我直哉が婚約を解消し、彼女と結婚したくないと言ったからだ。
庄野沙耶は当然、蘇我直哉が婚約を解消したのは橋本友香と結婚したいからだと思った。