017 最後の出演者

「私は家では普段からこんなに早く起きているの。早起きすると頭がすっきりして、この時間だけは心を落ち着かせて本を読むことができるの」と矢崎美緒は照れ笑いをしながら言った。

実際は昨日お腹が空いていたことと、ここのベッドがとても硬くて、甘やかされて育った彼女が眠れなかっただけだった。

矢崎粟は心の中で呆れた。この言葉は明らかに視聴者と小島一馬に向けて言ったもので、謙遜しながら自分の優秀さをアピールし、また文学少女というキャラ設定を確立しようとしているのだ。それに、矢野常と怪しい関係があるはずなのに、なぜ小島一馬にも気があるような態度をとるのだろう。

しかし矢崎粟は心の中で文句を言うだけで、実際には反論しなかった。結局、やるべきことは一度か二度でいい。理があっても、今更人のことを言い立てて自分の評判を落とすのは得策ではない。そこで彼女はここを離れ、周りを散策して何か食べ物を探すことにした。