018 分業協力

林監督の言葉が終わるや否や、庭の外から一人の男性がスタッフの案内で中に入ってきた。

矢崎粟は来訪者を見て少し驚いた。これは彼女の三番目の兄、矢崎若菜ではないか。

矢崎若菜は黒いカジュアルスーツを着て、金縁の眼鏡をかけ、知的な雰囲気を漂わせていた。

矢崎粟は心の中で毒づいた:'インテリぶった悪党'。

矢崎美緒は矢崎若菜を見た瞬間に目を潤ませ、近づく前に彼に飛びついた。矢崎若菜も両腕を広げて彼女をしっかりと抱きしめた。

矢崎美緒は彼の胸の中で小さな声ですすり泣いていた。

「どうしたんだ、美緒、誰かに意地悪されたのか」矢崎若菜は愛する妹がこんな状態なのを見て、胸が痛くなった。空気中の不思議な臭いを無視して、頭を下げて優しく矢崎美緒に尋ねた。

しかし矢崎美緒は彼の胸に甘えたまま何も言わず、ただ首を振り続けた。