「小島一馬、疲れたら代わってあげるわ。粟ちゃん、持てなくなったら言ってね、少し持ってあげるから」
出発前に伊藤卓は二人に念を押した。この四人チームの中で、彼が一番年上だったが、この二日間は弟や妹たちに世話をされていて、内心バランスが取れていないと感じていた。
矢崎粟は彼の親切な気持ちを理解し、優しく微笑んで頷いた。
そうして三人は水を運び続けた。
いつの間にか、四人の間にも息が合うようになり、動きはどんどん速くなっていった。すぐに空だった水がめは水で満たされた。
四人とも清潔さなど気にせず、直接地面に座り、疲れながらも嬉しそうな表情を浮かべていた。
そして矢崎粟は、小島一馬が何気なく右手をさすり、一瞬痛みに顔をゆがめたのに気付いた。
彼らと比べると、矢崎若菜たちのグループの進捗は少なからず遅れていた。