山村の空がほんのり明るくなり始めた頃、矢崎粟たちは既に身支度を整えていた。
今日は番組スタッフの予定通り、一行は町へ行き、昨日編んだ竹かごを売ってお金に換えることになっていた。
田舎では竹かごが必要とされているものの、一般家庭では自分で編むのが普通で、お金を出して買う人は少ないため、今日の課題もかなり大変なものとなりそうだった。
しかし矢崎粟は自分たちのグループが編んだ竹かごと小籠を念入りに確認し、品質は悪くないと自信を持っていた。
矢崎粟はお粥を作り、村人たちが前に贈ってくれた卵も茹でて、みんなで食事をしながら町への行き方を相談していた。
彼らがいる村は山々に囲まれており、近隣の村も少なく、バスも通っていない。普段、村人たちは徒歩で移動しているが、彼らが徒歩で町まで行くのは現実的ではなかった。