矢崎粟が目を上げると、値段を聞いてきたのは若い女の子で、二十歳前後、か弱そうな様子で、まだ学生の年齢のようだった。
「大きいのが40、小さいのが30、かごが15です」矢崎粟が考えている間に、小島一馬が先に心の中の価格を告げた。
少女は小島一馬を恥ずかしそうに見つめ、すぐに地面の竹かごに視線を戻した。「お姉さん、もう少し安くなりませんか?もっと買いたいんですけど」
少女は男の子と話すのが恥ずかしいようで、うつむいて台の上の竹かごを手で触っていた。品質は彼女の期待通りだったようで、少し緊張した様子で矢崎粟を見つめていた。
彼女の声は小さく、矢崎粟が近くにいて耳がよくなければ、何を言っているのか聞き取れなかっただろう。
「もちろんいいですよ。実際いくつ買うつもりですか?」矢崎粟が言った。
「大きい竹かごを1つと、小さいのを2つ、かごは全部欲しいです」少女の声は相変わらず小さかったが、おそらく矢崎粟が終始優しい笑顔を見せていたおかげで、以前ほど緊張や不安はなさそうだった。
矢崎粟は驚いて「そんなにたくさん買うんですか?」と聞いた。
「実は、父が少し事故に遭って、私はこういうものを編むのが上手くなくて、町にも売りに来る人が少ないんです。でも田舎ではこういうものが必要なので、たくさん買おうと思って」
矢崎粟は実は、少女が彼らの誰かを知っていて応援買いに来たのかと心配して軽く尋ねただけだった。農家の人がこんなにたくさん買うとは思っていなかったからだ。
「じゃあ、これら全部で100円でいいですよ。これを編むのも大変なので、これ以上の値引きは難しいですが」
矢崎粟は少女の父親が何か事故に遭ったと聞いたので、このような大きな譲歩をしたのだった。実質的に2つのかごを無料でプレゼントするようなものだった。
少女は少し考え込んでから、歯を食いしばってうなずき、矢崎粟に100元を渡して、買った竹かごを持って立ち去った。
「彼女、僕のことを怖がってたみたいだね」小島一馬は少女の後ろ姿を見ながら、鼻をこすった。
矢崎粟はにやりと笑って、手にした100元を彼に渡した。「商売人なのに無愛想な顔してたら、女の子が怖がるのは当たり前でしょ。はい、これ。ちゃんと持っていて、なくさないでね」