037 完売

矢崎粟が目を上げると、値段を聞いてきたのは若い女の子で、二十歳前後、か弱そうな様子で、まだ学生の年齢のようだった。

「大きいのが40、小さいのが30、かごが15です」矢崎粟が考えている間に、小島一馬が先に心の中の価格を告げた。

少女は小島一馬を恥ずかしそうに見つめ、すぐに地面の竹かごに視線を戻した。「お姉さん、もう少し安くなりませんか?もっと買いたいんですけど」

少女は男の子と話すのが恥ずかしいようで、うつむいて台の上の竹かごを手で触っていた。品質は彼女の期待通りだったようで、少し緊張した様子で矢崎粟を見つめていた。

彼女の声は小さく、矢崎粟が近くにいて耳がよくなければ、何を言っているのか聞き取れなかっただろう。

「もちろんいいですよ。実際いくつ買うつもりですか?」矢崎粟が言った。