040 贖罪

「大丈夫、ちょっとしたことを思い出しただけ。今から出発しましょう」矢崎粟は我に返り、急いでレインコートのボタンを留めながら、小島一馬に言った。

「みんな出発しましょう。二人一組で手分けして行動します。何か情報があったらすぐに連絡してください」林監督は全員の準備が整ったのを見て、声をかけた。

矢崎粟は真っ先に部屋を出た。それは彼女が特別善良だからではなく、この子を見つけることが彼女にとって必須だったからだ。

おそらくこれは贖罪、彼女自身の自己救済の物語なのだろう。

「粟、ゆっくり歩いて。こんな大雨で道が悪いから。その子は絶対大丈夫だから」森田輝は矢崎粟の足取りが速いのを見て、急いで声をかけた。

矢崎粟は少しペースを落とし、雨幕の中に隠れる山を見つめながら、心の中の不安が徐々に強くなっていった。「私たち直接子供の家の畑に行ってみましょう。近所の人が、おばあちゃんに傘を届けに行くって言ってたから」

「みんなはゆっくりついて来て。私が先に見てくる」矢崎粟は言い終わると、皆の返事も待たずに足を速め、小走りになった。

「粟、待って!」森田輝も数歩駆け出したが、小道は非常に泥濘んでいて、歩くと滑り、不注意で転んでしまい、足も捻ってしまった。

伊藤卓と小島一馬は急いで彼女を助け起こした。

「私のことは気にしないで、大丈夫だから。早く追いかけて。彼女の様子がおかしいと思う」森田輝は伊藤卓の手を振り払おうとしたが、何度試しても失敗に終わった。

「俺が追いかける。君は歩けるか確認して。無理なら伊藤に送ってもらって。大丈夫なら村の周りを見てくれ。畑の畝は歩きにくいから」小島一馬は伊藤卓が森田輝を支え終わるのを見てから、矢崎粟の方向へ追いかけていった。

後ろで家から出てきたばかりの岡田淳は、今の出来事をすべて目にしていた。口を尖らせて「ふん、本当に演技が上手いわね」と言った。

矢崎若菜はその言葉を聞いて彼女を鋭く睨みつけた。どう言っても矢崎粟は自分の妹だ。自分は妹を諭したり正したりすることはできても、この岡田淳など何者だ、よくも自分の妹のことを言えたものだ。

「三兄、私たちはどこを探すの?」