040 贖罪

「大丈夫、ちょっとしたことを思い出しただけ。今から出発しましょう」矢崎粟は我に返り、急いでレインコートのボタンを留めながら、小島一馬に言った。

「みんな出発しましょう。二人一組で手分けして行動します。何か情報があったらすぐに連絡してください」林監督は全員の準備が整ったのを見て、声をかけた。

矢崎粟は真っ先に部屋を出た。それは彼女が特別善良だからではなく、この子を見つけることが彼女にとって必須だったからだ。

おそらくこれは贖罪、彼女自身の自己救済の物語なのだろう。

「粟、ゆっくり歩いて。こんな大雨で道が悪いから。その子は絶対大丈夫だから」森田輝は矢崎粟の足取りが速いのを見て、急いで声をかけた。

矢崎粟は少しペースを落とし、雨幕の中に隠れる山を見つめながら、心の中の不安が徐々に強くなっていった。「私たち直接子供の家の畑に行ってみましょう。近所の人が、おばあちゃんに傘を届けに行くって言ってたから」