もともと森田輝は別れを切り出すのが気が引けていたが、矢崎粟の言葉で事態の深刻さを認識した。
彼女はすぐに頷き、番組終了後に会社にマネージャーの変更を申請することを約束した。
森田輝が忠告を聞き入れたのを見て、矢崎粟もこれ以上雑談せず、すぐに眠りについた。
翌朝早く。
矢崎粟は7時前に起床し、身支度を整えた後、中庭で太極拳を始めた。
矢崎粟が太極拳を一通り終える前に、小島一馬が部屋から出てきて、彼女の流れるような拳法を見て、部屋の入り口に立って鑑賞し始めた。
矢崎粟は実は早くから小島一馬に気付いていたが、止めることなく続け、一連の拳法を終えてから初めて彼に挨拶をした。
「こんな早くに起きたの?ちょうど焼き餃子を作ろうと思ってたところ。身支度が終わったら手伝ってね」矢崎粟は手を洗ってキッチンに入った。
小島一馬は笑顔で彼女の後に続き、「もう済ませたよ。早起きしたのは君を手伝うためさ」
今回、番組スタッフが用意した食材には肉があり、矢崎粟がひき肉を刻もうとしているときに、森田輝がカメラマンを従えて入ってきた。
「お肉がある!ナズナもある!」森田輝はテーブルの上の食材を見て、喜びの表情を見せた。「今日はナズナと豚肉の焼き餃子を作りましょう!」
小島一馬と矢崎粟の二人は特に好みの餡の餃子はなく、視線を交わして森田輝に頷いて同意を示した。
森田輝は幼い頃から母親と一緒に餃子を作っていたので、生地をこねて皮を伸ばす作業を引き受けた。小島一馬は自然とひき肉を刻み始めた。
二人が最も大変な作業を引き受けたのを見て、矢崎粟は最も楽な仕事であるナズナを洗うことしかできなかった。
ナズナを洗い終えた矢崎粟が薪を割りに行こうとしたとき、伊藤卓が既に割った薪を抱えてキッチンに入ってきた。
「昨日小島一馬から焼き餃子を作るって聞いて、朝早くから薪を割っていたんだ。早く焼き餃子が食べられるのを楽しみにしていたから!」伊藤卓は小さな椅子に座って薪を整理した。
ライブ配信を見ていたネットユーザーたちは、キッチンで忙しく働く美男美女を見て、気分が良くなり、早起きもそれほど大変なことではないと感じ始めた。
みんなの手慣れた餃子の包み方を見て、彼らの賢さを称賛し、また義母が良い先生だったことを感心した。わずか数時間で全員に餃子の作り方を教えることができたのだから。