小島一馬が餃子を食べながら矢崎粟を優しく見つめる様子を見て、矢崎美緒は心が穏やかではなかった。
なぜ自分がこんなに彼のことを好きなのに、彼は自分をからかうばかりで、積極的ではない矢崎粟にばかり関心を向けるのだろう?
考えれば考えるほど矢崎美緒は腹が立ち、小島一馬が矢崎粟に向ける関心に納得がいかなかった。
焼き餃子は作れないけれど、餃子を包むことなら習ったことがある。
矢崎美緒は唇を固く結んで黙ったままキッチンに入り、矢野常と矢崎若菜もそれを見て慌てて後を追った。
「美緒、何をするつもり?」岡田淳が最後にキッチンに入ると、矢崎美緒がテーブルの食材の中で何かを探しているところだった。
矢崎美緒は答えずに必死に探し続け、残りの食材を全て探してみたが、小麦粉は見つからず、未開封の手作りパン生地が一袋あるだけだった。