072 腐れ桃の花

矢崎粟は落ち着いた口調で言った。「結局、矢崎美緒は矢崎家で十数年過ごしてきて、矢崎家の者たちと深い絆を築いています。反対に、血のつながりはあっても感情的な基盤のない私のような実の娘は、彼らにとって本当の意味での他人なのです」

「だから矢崎美緒のあなたに対する態度が変だと思ったのよ。あなたを攻撃したいけど、あまり度を越せない感じがあって。結局、彼女は自分の本当の身分がばれることを恐れていたのね。本当に偽善的な小人だわ!」森田輝は口を尖らせた。「あなたの家族も、あまりにも理不尽すぎるわ!」

明らかに矢崎美緒が矢崎粟の身分を奪い、矢崎家で十数年も裕福な生活を送ってきたのに、どうして外で暮らし、一日も家族の愛情を感じたことのない矢崎粟が、矢崎美緒に譲歩しなければならないのだろうか?