071 身分

小島一馬のところから戻ってきた矢崎粟は、部屋に入った瞬間から森田輝が密かに自分を観察していることに気づいた。

矢崎粟は笑いながら尋ねた。「光里、そんなにこっそり見ないで。言いたいことがあるなら、はっきり言ってよ。」

彼女の言葉を聞いて、森田輝は大きな笑顔を見せた。「じゃあ、言わせてもらうわ。実は私、前からあなたと矢野スターの関係が普通じゃないと思ってたの。でも、まさか元カレだったなんて!これって大ニュースよね!」

「若気の至りよ。もう過去のことだから。」矢崎粟はパジャマに着替えながら言った。

彼女のそんな割り切った態度を見て、森田輝は笑みを浮かべた。「そんな風に見られて安心したわ。まだ引きずってるんじゃないかって心配してたから。早めに見切りをつけるのは、一生後悔するよりずっといいわ。」