「私は……」矢崎若菜はまだ矢崎美緒のために言い訳をしようとしたが、矢崎粟に容赦なく遮られた。
「もういい。今すぐ監督に戻って、あなたを町まで送る車を手配してもらうわ。何かあったら矢崎家の者に責任を押し付けられるのは御免だから」そう言うと、矢崎粟は振り返りもせずに外へ向かった。
矢崎粟は中庭に戻って監督を起こし、状況を説明すると、監督は非常に心配そうな様子だった。
矢崎若菜は矢崎家の坊ちゃまで、もし何かあれば、自分にはその責任を負いきれない。
しかし番組の撮影は続けなければならず、自分の指導も必要なため、急いで副監督を起こし、矢崎若菜を町の病院まで車で送るよう指示した。
矢崎若菜が副監督と共に出発した後、監督はすぐに矢崎家の者に連絡を入れた。
監督からの電話を受けた矢崎家は明かりが灯り、出張中の矢崎正宗を除いて、小林美登里は四人の息子たちを全員ベッドから起こした。