ゲストたちの言い争いを見て、林監督は顔がほころびそうだった。
言い争いは良いことだ。口論があるということは見どころがあり、それは話題性があるということを意味する。
バラエティ番組を制作する側として最も望むのは、ゲストが自ら話題性を持ってくることだ。それができないなら、話題を作り出すのも良い。誰がバラエティは全員が団結しなければならないと決めたのか?
対立があってこそ現実味がある。
今、矢崎粟が少し攻撃的に見えても、林監督は彼女が間違っているとは思わなかった。
彼女が自分の妹と剛士を救ってくれた時から、林監督は矢崎粟が賢く理性的な人物で、個人的な好き嫌いで他人に理不尽な態度を取ることはないと分かっていた。
番組開始時から彼女が矢崎兄妹と矢野常に対立する立場を取ったのは、きっと彼ら三人が彼女の許せない何かをしたからに違いない。