129 呼び方が変わった

小林美登里は長男が差し出したタブレットを呆然と見つめていた。

美緒と矢野常に関する記事や、他の息子たちと矢崎美緒が親密に過ごす様子を見て、いつから息子たちと最愛の養女との関係がこのようになってしまったのかと考えずにはいられなかった。

矢崎美緒が矢崎家に引き取られた当初、息子たちは妹として受け入れることを拒否し、矢崎粟だけが妹だと主張していた。

特に三男の矢崎若菜は、自分の不注意で矢崎粟を失くしてしまったことに責任を感じ、毎晩泣きながら目を覚ましていた。

昼間も元気がなく、何にも興味を示さなかった。

当時、家族全員が矢崎若菜の健康を心配し、友人の紹介で玄学大師を見つけ、大師は家に来て矢崎若菜と矢崎美緒の運勢を占った。

アドバイスとして、矢崎美緒に家の末娘の名前に改名させることを提案し、そうすることで実の娘を見つけることができると言った。

また、矢崎美緒は生まれながらにして大富大貴の運命を持っており、改名後に矢崎家に完全に溶け込み、家族に受け入れられることで、矢崎家全員の運勢が上がり、より幸せな生活を送れるとも言った。

大師はさらに、矢崎美緒と矢崎若菜を一時的に同じ部屋で寝かせ、矢崎美緒が矢崎若菜の悪夢を抑制できるようになってから別々にすることを提案した。

これは矢崎若菜のためになり、実の娘を見つけることにも役立つと言われ、思いやりのある矢崎美緒は夜になると自ら矢崎若菜の元へ行き、冷たい態度をとられても動じなかった。

おそらく矢崎美緒のこの行動が矢崎粟を早く見つけるためだと理解し、次第に矢崎若菜も矢崎美緒の存在を受け入れるようになった。

矢崎美緒が寄り添うようになってから、矢崎若菜は確かに徐々に回復し、その後は矢崎美緒を実の妹のように可愛がるようになった。

矢崎若菜以外の息子たちも、付き合ううちに矢崎美緒の優しさに心を打たれ、すぐに彼女を受け入れた。

あの頃はまだ普通の兄妹の関係だったのに、いつからこのように変化したのだろうか?

小林美登里は兄妹の付き合い方を振り返り、最後にこれらの変化は矢崎美緒が家に来て数年後から始まったという結論に至った。