129 呼び方が変わった

小林美登里は長男が差し出したタブレットを呆然と見つめていた。

美緒と矢野常に関する記事や、他の息子たちと矢崎美緒が親密に過ごす様子を見て、いつから息子たちと最愛の養女との関係がこのようになってしまったのかと考えずにはいられなかった。

矢崎美緒が矢崎家に引き取られた当初、息子たちは妹として受け入れることを拒否し、矢崎粟だけが妹だと主張していた。

特に三男の矢崎若菜は、自分の不注意で矢崎粟を失くしてしまったことに責任を感じ、毎晩泣きながら目を覚ましていた。

昼間も元気がなく、何にも興味を示さなかった。

当時、家族全員が矢崎若菜の健康を心配し、友人の紹介で玄学大師を見つけ、大師は家に来て矢崎若菜と矢崎美緒の運勢を占った。

アドバイスとして、矢崎美緒に家の末娘の名前に改名させることを提案し、そうすることで実の娘を見つけることができると言った。