二人が途方に暮れていた時、林紅子は矢野常からの電話を受けた。
「矢崎美緒は、彼女の玉のペンダントは他人からの贈り物だと言っていた」矢野常は一旦言葉を切り、続けて言った。「私のも同じだ」
林紅子は要点を掴み、すぐに尋ねた。「同じ人物からの贈り物だと疑っているの?」
矢野常は電話を握りながら頷いた。「この玉のペンダントは単品では売っていないから、同じ人物だと思う」
「誰なの?」林紅子は追及した。
矢野常は暫く沈黙した後、言った。「ある目上の方です。その方は特別な立場にあって、この件について表に出て説明することができないんです」
林紅子はそれを聞いて眉をひそめた。「矢野常、今どんな状況か分かってる?その目上の方って一体どれほど特別な立場なの?後輩のあなたのために真相を明かすこともできないなんて。その方は、あなたの将来が台無しになるのを見過ごすつもりなの!?」