165 大物に頼る

すぐにゲストたちはグループ分けを終えた。

矢崎家の兄妹三人が一組、矢崎粟、小島一馬、山田勝が一組、矢野常と岡田淳は矢崎美緒と一緒になりたくなかったため、伊藤卓ともう一人の臨時ゲストと一組になった。

矢崎美緒は矢野常にチーム結成を誘ったが断られ、ずっと機嫌が悪かった。矢野常のこの行動は、まさに彼女の面子を潰すようなものだった!

グループ分けが終わったので、林監督もこれ以上時間を無駄にせず、番組開始を告げた後は裏方に引き下がった。

矢崎粟たちは相談の結果、三人で1500元の資金を使い切り、食事を済ませてから稼ぎやタスクのことを考えることにした。

伊藤卓は三人がタクシーに乗って去っていくのを見て、羨ましそうな目を向けた。「あの三人は気楽すぎるよね。」

岡田淳はそれを聞いて頷いた。「羨ましいわ。だから私たちも早く彼らみたいに気楽になれるように、さっさとお金を増やす方法を考えましょう!」

彼女は前回の苦労が本当に嫌だったのだ。

岡田淳たちが必死に稼ごうとする考えとは違い、矢崎粟たちの気楽な様子を見た矢崎美緒も負けじと真似をすると言い出した。

矢崎若菜はいつも矢崎美緒の言うことに同意するばかりで、今回も考えもせずに頷いた。

矢崎政氏は矢崎美緒の方を向いて尋ねた。「美緒、私たちは今1500元しか資金がないんだけど、本当に矢崎粟たちみたいにその場限りの楽しみを選ぶの?」

矢崎政氏の言葉は的確に矢崎美緒の痛いところを突いた。彼女は声を荒げて言った。「何よ、私が矢崎粟の真似をしているって?お兄ちゃんどうしてそんなこと言うの?」

矢崎美緒のこんな激しい反応は矢崎政氏の予想外だった。彼は急いで声を柔らかくして宥めた。「美緒、怒らないで。そういう意味じゃないんだ。ただ後で観光スポットに行くタスクがあるから、この資金を全部使ってしまうと、タクシーに乗れなくなってしまうんだ。」

彼は先ほどスマートフォンで調べていた。現在地から目的地までタクシーで110元かかる。計画を立てないと徒歩で行かなければならなくなる。観光スポットまでは20キロ以上あり、幼い頃から甘やかされて育った矢崎美緒には無理だろうと心配だった。

「タクシー代を残しておけばいいじゃない。お腹空いたから、今すぐご飯食べたい!」矢崎政氏が理由を説明したにもかかわらず、矢崎美緒はまだ機嫌が悪かった。