169 レストランでの大道芸

矢野常のグループは矢崎美緒のグループと同じように芸で稼いでいたが、生活は矢崎美緒たちよりも少し良かった。

彼らは直接良いレストランを見つけ、店主は偶然矢野常たちのことを認識していた。

矢野常たちがバラエティー番組を撮影中だと知ると、店内でピアノを演奏させてくれ、お客様に迷惑をかけない範囲で生配信の継続も許可してくれた。

伊藤卓はバイオリンが弾け、チームの臨時ゲストもハープが演奏できた。

彼ら3人は店内で交代で演奏し、一日でお客様からのチップもかなりの額になった。

岡田淳は今日、楽器が演奏できないためステージに立つことはなかったが、暇をしていたわけではなく、レストランの隣のミュージックバーで臨時の歌手として働き、一日の収入も悪くなかった。

彼らの収入を合わせても矢崎粟の一回の試合での稼ぎには及ばなかったが、夜にお金を数えるとき、岡田淳は嬉しそうに笑みが絶えなかった。

小島一馬は伊藤卓が投稿したツイートで、彼らがレストランで芸を披露していることを知った。写真の中でピアノを弾く矢野常を見ながら、口角を少し上げて隣の矢崎粟に言った:「粟、伊藤卓たちはこのレストランで芸を披露しているよ。このレストランの内装もなかなか良さそうだし、明日ここで食事をして、伊藤卓の応援もしようか。」

矢崎粟はプールサイドでカクテルを飲みながら彼を見つめ、しばらくしてから意味深な笑みを浮かべた:「小島スターの言う通りにしましょう。」

今朝の小島一馬と矢野常の剣を交えるような場面を思い出し、矢崎粟は彼の本心が分からないはずがなかった。

伊藤卓の応援に行くという言葉を矢崎粟は全く信じていなかった。むしろ、消費者として高い立場からレストランで芸を披露する矢野常の前で威張りたいのだと信じていた。

水着は矢崎粟の曲線美のある素晴らしい体型を際立たせており、小島一馬は矢崎粟を直視できず、耳を赤くしながら素早く視線をそらした。

翌日、矢崎粟たち3人は早起きした。

矢野常たち4人が芸を披露するレストランは朝食も提供していたので、矢崎粟は朝食もそこで済ませることにした。

レストランの雰囲気は優雅で、3人は従業員の案内で眺めの良い席を選んだ。