山田勝は試合が行われるゲームのタイトルを見て、少し興奮した様子で言った。「このゲーム、ずっとやってるんです!戦士キャラを使うのが得意で、大学時代は学校の代表として大会にも出場したことがあります!」
ポスターに掲載されているゲームは世界中で人気を博しており、矢崎粟のようなゲームに詳しくない人でも、その存在を知っているほどだった。
「社長、プレイしたことありますか?もしあれば、私たち三人でチームを組めるんですが」山田勝は期待に満ちた眼差しで矢崎粟を見つめた。
矢崎粟が首を振るのを見て、山田勝は落胆しため息をついた。「じゃあ、野良とチームを組むしかないですね」
見知らぬ人とチームを組むと連携が取りづらく、その時の成績は運次第になってしまう。
「ヒーラーの使い方を教えてあげる」小島一馬は矢崎粟を見つめながら言った。「粟は賢いから、きっとすぐに上手くなれるよ。私たちの後ろに立ってヒール役に徹してくれれば大丈夫」
「そうですね!女性プレイヤーの多くはヒーラーを使いますし、社長なら絶対にできますよ!」小島一馬の言葉に触発され、山田勝も嬉しそうに声を上げた。
二人の期待に満ちた眼差しを受けて、矢崎粟は頷いた。このゲームを始めたばかりの女性プレイヤーの多くがヒーラーを使ってゲームシステムに慣れていくと聞いていたので、自分も試してみようと思った。
それに……
矢崎粟は小島一馬をちらりと見た。元プロゲーマーで実力も抜群の彼と、大学代表として大会に出場した経験を持つ天才プレイヤーの山田勝がいれば、彼女のような初心者でも何とかなるだろう。
三人で決めた後、タクシーでバイク博物館に向かった。車内で山田勝は熱心にヒーラーのスキルについて矢崎粟に説明し始め、博物館に着く頃には、矢崎粟はそれらのスキルを使いこなせるようになっていた。
番組スタッフが三人分の見学予約を事前に取っていたため、身分証明書を提示するだけで館内に入ることができた。
博物館では現在、少額の料金で館内でバイクレース用のコスチュームを着用して写真撮影ができるイベントを開催していた。
プロのカメラマンとメイクアップアーティストの魅力に惹かれ、三人は迷わず料金を支払うことにした。