171 アルバイトモデル

「こんなにもプロゲーマーが攻略できないダンジョンを、素人プレイヤーが攻略できると思っているのだろうか?」

「上のコメントは慎重に言ってください。小島一馬さんは素人ではありません。彼は手の怪我で引退を余儀なくされた元プロゲーマーです」

「そうです。私たちの小島一馬は以前、チームを率いてこのゲームの世界大会で優勝した人物なんです!」

「確かに手の怪我で引退しましたが、引退を表明した時、すぐに他のプロチームからコーチの招聘状が届いたんですよ」

「じゃあ、なぜ小島一馬は元所属のサンライトでコーチを務めなかったの?サンライトは国内トップクラスのゲームチームを持っているのに」

小島一馬のファンたちはネットユーザーのコメントに怒り、彼の輝かしい戦績を列挙し始めた。しかし、今回は膨大なゲームファンとネットユーザーを相手に、少数で多数を相手にする状況で、すぐに劣勢に追い込まれた。

「林さん、ネット上で小島一馬のことで大騒ぎになっています。一時的に広告を切り替えた方がいいでしょうか?」副監督は増え続けるコメントを見ながら心配そうだった。

林監督は首を振った。「こういう時こそ広告を切り替えてはいけない。議論があれば視聴率も上がる」

副監督は彼の意図を理解したが、小島一馬たち三人が何か発言して、ゲーマーたちに愚かで傲慢だと思われ、番組の評判に影響が出ることを懸念していた。

「心配するな。もし本当に彼ら三人が視聴率に影響を与えることを懸念するなら、テレビ局からすでに電話が来ているはずだ」林監督は副監督の肩を叩いた。

林監督の言葉は理にかなっており、副監督も安心するしかなかった。

一方。

矢崎美緒たち三人は路上の屋台で食事をしていた。昨日稼いだお金は宿泊費を払うと、屋台で食べる程度しか残っていなかった。

矢崎美緒は携帯電話で矢崎粟がゲームファンたちに嘲笑されている様子を見て、心の中で少し爽快感を覚え、表情も自然と明るくなった。

矢崎政氏は彼女の表情が良くなったのを見て、興味深そうに彼女の携帯電話に目を向けた。

矢崎粟がゲームファンたちに夢物語だと嘲笑されているのを見て、矢崎政氏が何か言おうとした時、矢崎若菜が素早く彼の口を押さえた。

「......」矢崎政氏は強制的に黙らされ、犯人の矢崎若菜を睨みつけた。