「この符紙は三ヶ月間しか有効ではありません。もし必要なら、また協力できます」矢崎粟ははっきりと言った。
小島一馬たち三人もうなずいた。
このような符紙はもともと期限付きのものだ。矢崎粟が言わなくても、一枚の符紙が一生効果を持続することはないと彼らは分かっていた。
彼らはこのことについて特に異議はなかった。
渡部悠人は符紙を手に取り、心から感謝していた。正直に言えば、矢崎粟の玄学法術がこれほど凄いとは思っていなかった。
今となっては、あの大家たちと比べても遜色ないようだ。
もしかしたら、それらの大家たちをはるかに超えているかもしれない。
「私たちは先に失礼します。義兄さん、ゆっくり休養してください」小島一馬は全て片付いたのを見て、告別を申し出た。
これからは、彼と矢崎粟の時間だ。
二人が車に戻ると、小島一馬は改めて真剣に口を開いた。「粟、姉の家族を救ってくれて、どう感謝していいか分からないけど、もう一度お礼を言わせてください」
「気にしないで、私たちは友達でしょう」矢崎粟はうなずきながら言った。
彼女は入室した時から、小島心と渡部悠人の二人が慈悲深い顔をしており、正気に満ちていることを見抜いていた。
二人はきっと善行を常に行っているのだろう。
さらに先祖の徳の加護もあり、このような人々は救う価値があると思った。
しかし小島一馬の耳には、「友達」という言葉が少し寂しく聞こえた。
どうやら、矢崎粟は彼をただの普通の友達としか見ていず、それ以上の考えはないようだ。この認識は、彼を少し落胆させた。
「着きました。おやすみなさい」
車が矢崎粟の家の前に停まると、小島一馬は車を降りて彼女の頭上を守るように手を添え、優しく言った。
矢崎粟の気持ちがどうであれ、とにかく彼は彼女が好きだった。
こんなに素晴らしい女性が、たとえ彼のことを好きでなくても、それは受け入れられると思った。
「うん、さようなら。気をつけて帰ってね」矢崎粟は微笑み、頬にエクボが微かに浮かび、小島一馬の前で可愛らしい一面を見せた。
その瞬間、小島一馬は見とれてしまった。
矢崎粟がドアの中に入り、彼に手を振って別れを告げるまで、彼はようやく我に返り、「何かあったら電話してください」
矢崎粟が安全に家に入るのを確認してから、彼は安心して車を走らせ帰宅した。