184 お札で邪気を払う

彼女は受け取るべき金額だけを受け取った。

渡部悠人は彼女の態度が断固としているのを見て、反対せず、ただ感謝を述べた。「彼のためにしてくれたことに感謝します。」

そう言いながら、また激しく咳き込み始めた。

まるで古い風箱のように、声はかすれて聞き苦しく、次の瞬間にも息が詰まりそうだった。

「今、主人が指輪をはずしたので、命は助かるのでしょうか?」小島心は心配そうに渡部悠人を見つめた。

この数日間の不運は、彼女を本当に怯えさせていた。

「今は外してはいますが、長期間着けていたため、邪気はすでに体内に浸透しています。命を保つのは、まだ難しいかもしれません。」矢崎粟は彼の頭上の黒い気を観察しながら、正直に答えた。

今や邪気は骨髄まで深く入りかけており、幸いなことにまだ完全には浸透していない。ただ体の周りを取り巻いているだけだが、これ以上放置すれば手の施しようがなくなる。