「くそっ、また彼女がトレンド入りしてる!」矢崎美緒は慌ててスクロールし、矢崎粟のニュースを見たくなかったが、誤ってエンターテインメントニュースをクリックしてしまった。
しかしそのニュースでも、矢崎粟への賞賛ばかりで、彼女が新世代のトップスターになるだろうと予想されていた。
コメント欄も全て賞賛で、矢崎粟がより遠くまで行けることを願うものばかりだった。
これら全てが、矢崎美緒を狂おしいほど嫉妬させた!
「未来のトップスターは私よ。あの子は矢崎家に捨てられた娘で、本当の矢崎家のお嬢様は私なのに、あなたたち何もわかってない!」矢崎美緒は叫び、怒りに任せてスマートフォンの電源を切り、小さな機械を取り出した。
機械は黒色だった。
大きさはスマートフォンの三分の一ほどで、一見何の変哲もないように見えた。矢崎美緒はしばらくそれを触っていたかと思うと、三回クリックした。
すぐにもう一方から声が聞こえてきた。「美緒、何かあったのか?」
「おじさま!」矢崎美緒は救いの神を見つけたかのように、泣きながら言った。「顔に黒子が出来てしまって、ネットは矢崎粟の賞賛で溢れてるし、私の運気がどんどん悪くなってるみたい。」
このままでは、きっと矢崎粟に追い越されてしまう。
「心配するな、すべて私の掌握の中だ」その人物は自信満々に言った。「すぐに丹藥を届けさせる。それを飲めば、今までより綺麗になれるぞ。」
男の声は変声器を使っており、はっきりとは聞き取れなかった。
少し間を置いて、彼は続けた。「次の番組で、彼女の名声を地に落としてやる。安心しろ、彼女の得意げな態度も長くは続かない。」
男の声は自信に満ちており、すべてが掌握下にあるかのようだった。
「はい、ありがとうございます、おじさま!」
矢崎美緒は大喜びで、何度も感謝の言葉を述べた。「今すぐ丹藥を飲みます。」
電話はすぐに切れたが、矢崎美緒は知らなかった。彼女のスマートフォンのカメラがこれら全てを記録しており、その全てが矢崎粟に送信されていたことを。
矢崎美緒の部屋の窓がすぐにノックされ、彼女は喜んで窓を開け、黒い箱を受け取った。
その人物は低い声で言った。「これは師匠から預かったものだ。ぬるま湯で服用し、今日は日光に当たってはいけない。さもないと深刻な結果になる。」