「あなたを追加しないのは当然のことだ」矢崎泰は車を運転しながら、矢崎弘の焦りの表情を見て、少し笑いながら首を振った。
この弟は、まだ粟のことをよく分かっていないな。
「承認された!彼女が承認してくれた!」矢崎弘はスマートフォンを手に持ち、興奮した様子で大声で叫んだ。
この言葉に矢崎泰は呆れた、「今のお前は粟のファンみたいだな。連絡先を手に入れただけでそんなに興奮するのか?以前お前たちが彼女にあんな態度を取らなければ、彼女は矢崎家を離れることはなかったはずだ。」
ここまで言って、矢崎泰も腹が立った。
この連中は以前は粟の良さが分からなかったのに、今になって彼女が必要になったから思い出すなんて、妹のために腹立たしい。
矢崎弘はその言葉に恥ずかしくなって顔を真っ赤にした、「兄さん、私は粟に申し訳ないことをした。これからは妹のことを大切にして、兄さんと一緒に心を込めて彼女を守っていきます。」
「それならいい。」矢崎泰は頷き、満足そうに言った。
幸い今は矢崎美緒の側に立っていない。矢崎泰は信じていた、近い将来、他の二人の弟も矢崎美緒から遠ざかるだろうと。
いずれ皆が矢崎美緒の本性を見抜くだろう。
一方、矢崎粟はスマートフォンの画面を平らに置き、暗号化されたウェブサイトにアクセスし、指を素早く動かして、最終的にこのグループチャットを完全にロックした。
世界最高峰のハッカーでない限り、このグループチャットに侵入することはできない。
グループチャット内のメッセージは、すべて安全だ。
彼女は二人のスマートフォンにも侵入し、グループチャットを暗号化し、メッセージを送信した後は自動的に消去され、痕跡を残さないようにした。
つまり、背後にいる者たちはこのグループチャットから何の有用な情報も得ることはできない。
二日後、s国のバラエティ番組が人気を博して放送された。
大勢の人々が矢崎粟の颯爽とした性格と、リングでの姿に魅了され、ファンの数が急上昇し、国内のトップクラスの芸能人に迫る勢いだった。
同時に、矢崎粟がボクシング大会で優勝したことも、その日のトレンドランキングに載った。
下のファンたちは皆賞賛の声を上げていた。
【粟ちゃん、すごい!やっぱり私の好きな女の子だ!】